「安全で魅力的なまちづくり」に向けて、国の最新の動向について紹介

水没している家防災・減災

災害大国日本では、近年の気候変動による水害なども相まって、毎年のように災害が起こり、国民の生活を脅かしています。

・「50年に一度の〜」とか
・「これまでに経験のない〜」とか

といった報道を聞くたびに、「また?」と思ってしまい、もはや信憑性がなくなってしまっている始末です。
ただ、決して冗談で言っているわけではなく、近年異常気象による災害の増加は数字から見ても明らかなのです。

つまり、今までの物差しでは測れないくらい、災害が予測できない割合で激甚化・頻発化しているということです。

そこで今回は、こう言った現状を踏まえ、まちづくりの視点から現在どのような対策を進めているのかを紹介したいと思います。

都市再生特別措置法等の一部改正(令和2年9月7日施行)

そもそも、都市再生特別措置法とは?

都市再生特別措置法とは、近年における急速な情報化、国際化、少子高齢化等の社会経済情勢の変化に日本における都市が十分に対応できたものとなっていないことに鑑み、これらの社会情勢の変化に対応した都市機能の高度化および都市の居住環境の向上を図るため、〜<中略>〜2002年(平成14年)に制定された法律である。

https://ja.wikipedia.org/wiki/都市再生特別措置法

変化のスピードが激しい社会に対応するために、その都度改正をされてきています。
今回は昨今の災害を踏まえ、R2.9.7に新たに施行された改正特別措置法について見ていきます。

頻発・激甚化する自然災害に対応した「安全なまちづくり」

主に以下の3点がポイントです。

  1. 災害ハザードエリアにおける開発(新規立地)抑制
  2. 災害ハザードエリアからの移転促進
  3. 立地適正化計画の強化

一つずつ見ていきます。

1.災害ハザードエリアにおける開発(新規立地)抑制

災害ハザードエリアとは、その名の通り「災害の危険性が高い地域」のことで、主に2つに分けられます。以下3つの規制が定められています。

                  災害ハザードエリア
災害レッドゾーン浸水ハザードエリア
①自己業務用施設の開発を原則禁止(都市計画法33条)②市街化調整区域の浸水ハザードエリア等における住宅等の開発許可の厳格化(都市計画法34条)
災害ハザードエリアと各規制

③居住誘導区域外における災害レッドゾーン内での住宅等の開発に対する勧告・公表(都市再生特別措置法88条)※勧告に従わない場合は、公表できる

ちなみに、災害レッドゾーンとは以下のような区域をいいます。

災害レッドゾーン
・災害危険区域(崖崩れ、出水等)
・土砂災害特別警戒区域
・地すべり防止区域
・急傾斜地崩壊危険区域

2.災害ハザードエリアからの移転促進

市町村による災害ハザードエリアからの円滑な移転を支援するための計画(防災移転支援計画、居住誘導区域等権利設定等促進計画)作成(都市再生特別措置法第81条等)

市町村が、移転車等のコーディネートを行い、移転に関する具体的な計画を作成し、手続きの代行等を行う。

3.立地適性化計画の強化(居住エリアの安全確保)

・居住誘導区域から災害レッドゾーンを原則除外

・居住誘導区域内で行う防災対策・安全確保策を定める「防災指針」の作成(避難路、防災公園等の避難地、避難施設等の整備、警戒避難体制の確保等)

土地区画整理事業の特例(防災住宅建設区の創設)

令和元年台風19号により、多くの人や住家の浸水被害が発生した。
これらに対処するため、居住誘導区域内の災害ハザードエリア内に存する住宅について、防災措置が講じられた安全な土地への移転を促すことが必要。

立地適正化計画の中には防災指針を定めるが、その防災指針の中に、
「居住誘導区域内における洪水災害等の害を防止・軽減することを目的とする土地区画整理事業に関する事項」を記載することができることとするとの内容が盛り込まれた。

→次のページ(魅力的なまちづくり)

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